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【お勧め図書】◆立川高校(東京) 入試問題

『動く倫理学を展開する』 小林 道憲 ミネルヴァ書房



内に混沌(こんとん)を蔵(ぞう)している〈動く社会〉の倫理(りんり)を考え、新たな倫理学を構築(こうちく)する。生成変化する社会では、われわれの行為の意味や価値も目まぐるしく変動する。われわれの行為は、変化する状況とともに変わり、また、状況を変化させてもいくことができるのである。生成の中で行為を考え、行為の中で生成を考えながら、その叙述(じょじゅつ)の過程に東西の倫理思想を位置づけ、行為の意味と価値を考察する〈動態倫理学〉の展開。

*混沌=
(1)天地創造の神話で、天と地がまだ分かれず、まじり合っている状態。
(2)入りまじって区別がつかず、はっきりしないさま。
*倫理=人間生活の秩序つまり人倫(じんりん)の中で踏み行うべき規範の筋道(の立て方)
**人倫=
(1)人と人との間柄・秩序関係。君臣(=主君と臣下)・父子・夫婦などの間の秩序。
(2)人として守るべき道。人道。
(3)ひと。人類。人間一般。
*蔵する=
(1)おさめる。所蔵する。
(2)中に含みもつ。
*生成=
(1)生じること。また、生じさせること。
(2)物がその状態を変化させて他の物となること。転化
*行為=
(1)個人がある意志・目的を持って意識的にするおこない。行動。ふるまい。
(2)自由な意志に基づいて選択され、実行された身体的動作で道徳的評価の対象となるもの。
(3)法律上の効果を発生させる原因となる、人の自発的な意思活動。
*叙述=物事について順を追って述べること。また、その述べたもの。



『石の来歴』 奥 泉光 講談社文芸文庫



「石には宇宙が刻印されている」レイテで戦友から聞かされた言葉によって、岩石に魅(み)せられた男。戦後、彼に訪れる苦難(くなん)とは!? 現在と過去、夢と現実が交錯(こうさく)するなかで、妻は狂気にいざなわれ、子は死にもてあそばれる。華麗(かれい)にしてペーソス溢(あふ)れる文体で、時と心との織りなす迷宮(めいきゅう)を描ききる、気鋭(きえい)の芥川賞受賞作。

*レイテ=レイテ沖海戦。1944年(昭和19)10月、太平洋戦争における米軍のフィリピン奪回作戦に伴い生起(せいき)した一連の日米の海空戦。この海戦で日本海軍は残存大型軍艦の大半を喪失(そうしつ)し、以後組織的な作戦能力を失った。
*いざなう=さそう。すすめる。さそい出す。
*もてあそぶ=
(1)手に持って遊ぶ。いじくる。
(2)まじめに扱うべきものをおもちゃにする。
*華麗=はなやかで美しいこと。はでやかなこと。
*ペーソス=もの悲しい情緒。哀愁(あいしゅう)。ユーモアの対。
**情緒=喜び,悲しみ,怒り,恐れなどによって代表される感情群。
*迷宮=
(1)中に入ると容易に出口がわからず迷うようにつくってある建物。
(2)複雑に入り組んでいてなかなか解明できない事柄のたとえ。また特に、手がかりがなく解決の見通しが立たない犯罪事件。
*気鋭=気力があって、意気込みが鋭いこと。また、そのさま。



『歌説話の世界』 馬場 あき子 講談社



本当に勝(すぐ)れた歌とはどういうものをいうのか平安初期から中世にかけて、多くの歌人が記憶に残していった歌説話を中心に、歌とは何だったのかを考える馬場あき子渾身(こんしん)の書。

*歌説話=和歌にまつわる説話を集成した、物語文学の総称。
**説話=話。物語。特に、語り伝えられた神話・伝説・民話など。
*渾身=からだ全体。全身。満身。

【お勧め図書】◆青山高校(東京) 入試問題

『数学の想像力』 加藤 文元 筑摩選書



数学は音楽に似ている。論理と感性、理性と直観等、対立するもののように思われがちだが、音楽も数学も古来、天上へつづくかのような調和の美しさで人を魅了(みりょう)してきた。ところが数学者たちはやがて気づく。数の世界に潜む見えない数、無限、そして緻密(ちみつ)な論理が孕(はら)むパラドクスの深淵(しんえん)。しかしそこに、数学が自由に飛翔(ひしょう)するための契機(けいき)があった―。古代文明から現代まで四千年にわたる数学の歴史をたどり、人間にとって正しさとは何かを問いなおす。

*魅了=すっかり相手の心を引きつけて夢中にさせてしまうこと。
*緻密=
(1)きめ・細工が細かいこと。
(2)細かい所まで行きとどいていること。
*孕む=
(1)胎内に子を宿す。妊娠する。
(2)その中に含み持つ。
(3)穂が出ようとしてふくらむ。
*深淵=
(1)深いふち。深潭 (しんたん) 。
(2)奥深く、底知れないこと。
*飛翔=空高く飛びめぐること。



『ホームグラウンド』 はらだ みずき 角川文庫



建設会社に勤める圭介は、広大な休耕地(きゅうこうち)をもつ祖父の雄蔵に土地の有効利用を持ちかけていた。しかし、脳卒中から快復(かいふく)した雄蔵は圭介の提案を断ると、自分の命を救ってくれた少年について語り、荒れ果てた土地をひとり耕し始める。芝生の広場をつくる、という老人の夢に巻き込まれていく圭介は、両親と祖父母の確執(かくしつ)の真実を知り、迷いのあった人生の舵(かじ)を切る。愛しい人のために今を変えようと奔走(ほんそう)する、家族の絆(きづな)の物語。

*休耕地=水田として機能していない田畑のこと。
*確執=自分の意見を強く主張してゆずらないこと。またそこから起こる争い。
*舵を切る=船の舵を操り進行方向を変える。「切る」は、この場合、乗り物の進行方向を変えることを意味する。また、船の操作から転じて企業などの組織において方針を大幅に変更する意味でも用いられる。ちなみに「舵を取る」は物事を営み進めること。
**舵=船の進行方向を定める装置。板状で、多くは船尾に取り付けられる。
*奔走=かけ回って、物事がうまく運ぶように努力すること。



『瑞穂の国うた』 大岡 信 新潮文庫



大きな節目を皆でいっせいに迎える、おごそかでめでたいお正月。日本人の美意識に深く根差した桜の花。夏にかかせぬ青空に響く蜩(ひぐらし)の声。実りの秋に詠(よ)まれた恋。孤独な心に滴(したた)る酒―。詩情あふれる言葉で書きとめられた、時を経ても変わることのない日本人の心、そして芭蕉、子規、漱石、虚子(きょし)についての珠玉(しゅぎょく)の論考(ろんこう)。

*蜩=カメムシ目セミ科に属する昆虫。
*詠む=和歌・俳句などを作る。ある事柄を歌や句として表現する。
*滴る=
(1)水などが、しずくになって垂れ落ちる。
(2)美しさや鮮やかさがあふれるばかりに満ちている。
*珠玉=真珠や宝石。比喩的に、尊いもの、美しいもの、賞すべきもの。
*論考=あるテーマについて論じ考究した文章。論文。

【お勧め図書】◆戸山高校入試問題出典◆

『日本語は哲学する言語である』 小浜 逸郎 徳間書店



日本語を日本語で哲学すれば、デカルトやハイデガーが、何を間違えたのかがよくわかる。西洋哲学がそのロゴス至上主義ゆえに逢着(ほうちゃく)してしまったアポリアを超えて日本語の文法構造から新しい日本語の哲学を切り拓(ひら)く画期的な試み。

*ロゴス至上主義=フランスの哲学者デリダの用語。日常世界の背後に絶対的な真理が隠されており、それは言葉(ロゴス)によってとらえることができるという西欧形而上学(せいおうけいじじょうがく)の中心原理。この考え方を脱構築することが要請される。
**形而上学=事物の本質、存在の根本原理を思惟(しい)や直観によって探究する学問。アリストテレスの著作の一つが、この名で呼ばれたことに始まる。
***思惟=(物事の根本を)心で深く考えること。
*逢着=出あうこと。出くわすこと。行きあたること。
*アポリア=ギリシア語で場所に関しては通路のないこと、事物については解決の方途が見出せないことから生じる困難を意味する。



『戯作三昧・一塊の土』より「戯作三昧」 芥川 龍之介 新潮文庫



大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の短編小説。初出は「大阪毎日新聞」[1917(大正6)年]。短編集「傀儡師(くぐつし/かいらいし)」[新潮社、1919(大正8)年]に収録。芥川の初の新聞連載小説である。饗庭篁村(あえばこうそん)編「馬琴日記鈔」[文会堂書店、1911(明治44)年]を素材として1831(天保2)年9月の滝川馬琴の一日を描いた作品。馬琴に仮託(かたく)しながら芥川自身の創作への心情を語っている

*新思潮派=芥川龍之介、菊池寛、久米正雄など、第三次、第四次『新思潮(日本の文芸雑誌)』による人々。現実を理知的に捉え、技巧的な表現によって、大正時代を代表した。
*傀儡師=人形遣いの古称。
*理知=物事の道理を判断する能力。
**道理=物事の筋道。
*的=名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。
(1)そのような性質をもったものの意を表す。
(2)それについての、その方面にかかわる、などの意を表す。
(3)そのようなようすの、それらしい、などの意を表す。
*仮託=他の物事を借りて言い表すこと。



『能、世阿弥の「現在」』 土屋 恵一郎 角川ソフィア文庫



面、装束(しょうぞく)の記号的な意味、序の舞の身体(からだ)、ドラマを生み出す仕掛けとしての夢、世阿弥の言葉「花」「離見の見(りけんのけん)」「幽玄(ゆうげん)」。能のさまざまな側面に切り込み、演劇空間の「現在」がどのようにつくられるのかに肉薄(にくはく)する。

*装束=衣服を身に着けること。装うこと。また、その衣服。装い。いでたち。
*「花」=外界の必然にも、自分自身の自然にも、徹底的に従うことにより、その時々の新しい姿を創り出していくこと。
*「離見の見」=演者が、自分を離れ、観客の立場で自分の姿を見ること。自分の演技について客観的な視点をもつこと。
⇒『離見(客観的に見られた自分の姿)を自分自身で見ることが必要であり、自分の見る目が観客の見る目と一致することが重要である』と、世阿弥は述べている。
*「幽玄」=「美しく柔和な姿」という意味。音曲の美しさ、姿が美しく静に舞う姿など。
*肉薄=
(1)身をもって敵地などに迫ること。
(2)競争などで、すぐ近くまで追い迫ること。
(3)鋭く問い詰めること。

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Dr.関塾 新川1丁目校のホームページにお越しいただき、誠にありがとうございます。

新学年を迎えるにあたり、気持ちもリフレッシュされていた時期から、
アッという間にふた月が過ぎ、中学生はもう「1学期末テスト」前ですね。
(高校生はまだひと月以上ある学校が多いでしょうか?)

ご家庭での様子はいかがですか?

ふた月前『やる気と意欲』に満ち満ちていたはずですが、
それが、いつの間にやらどこへ行ってしまったのだろう…
というお子様も少なくないのではないでしょうか?

そのようなタイミングにおいて、やってくる「1学期末テスト」であり、
特に中学3年生は、平常点も大切ですが、内申書に影響する大切なテストです。

範囲は決まっていますから、各教科ポイントを押さえ、
計画的に取り組むことができれば、必ず高得点できるはずです。

これまで自分なりに「テスト対策」勉強に取り組んできた人も、
ベテラン講師のサポートを受け、「効率良く」範囲を終え、過去最高点を目指しませんか?

◎小学生におかれましても、それぞれ悩みがあると思いますが、
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下記の要領にて、【無料テスト対策会】を実施いたします。

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◆学 費◆ 教材費として1,000円(税込)かかります
◆時間割◆ 月曜日~土曜日
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◆コース◆ 生徒2名 対 講師1名の体験コース
◆内 容◆ 事前に科目・単元をご相談の上、授業を行ないます。

【お勧め図書】◆八王子東高校入試問題出典◆

『科学・技術と現代社会』 池内 了 みすず書房



1995年、それまで宇宙物理学を専門としてきた著者は、阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、高速増殖(ぞうしょく)炉「もんじゅ」のナトリウム漏出(ろうしゅつ)事故の発生をみるにおよんで、科学・技術・社会論に自分の足場を移した。科学と技術がいかにして科学・技術という一セットになったのか、それらは社会とどう影響を互いに及ぼしあっているのか、そこからどのような問題が新たに生じているか。専門家としての科学者は社会に開かれていなければならない。以後の著者の歩みは、科学者の社会的責任とつねに一対をなしていた。
本書は2007-2012年、総合研究大学院大学で足かけ6年にわたって行われた講義録をもとに
再構成したもので、文字通り著者のライフワークを記す。

*高速増殖炉=発電しながら消費した以上の燃料を生成できる原子炉
*漏出=もれて出ること。もらし出すこと。
*足場=
(1)高い所で作業をするために、丸太・鋼管などで組み立てた仮設構造物。
(2)足を踏みつける場所。また、足もとの具合。足掛かり。
(3)物事をしようとする時のよりどころ。土台。
(4)交通の便。
*ライフワーク=一生をかけてする仕事。畢生(ひっせい)の事業。また、ある個人の記念碑(きねんひ)的業績として挙げられる作品、研究など。
**畢生=一生を終わるまでの期間。一生涯。終生。
**記念碑=ある出来事や人物を記念して建てられた碑
**的=名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。
(1)そのような性質をもったものの意を表す。
(2)それについての、その方面にかかわる、などの意を表す。
(3)そのようなようすの、それらしい、などの意を表す。



『完パケ!』 額賀 澪 講談社



経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作の映画を撮れるのは、たった一人。監督志望の安原と北川は、コンペでガチンコ勝負することに。天然の安原と、策士の北川。撮影は、前途多難(ぜんとたなん)の幕開けとなったが―。さまざまな喪失(そうしつ)を経て傷つきながら、彼らが手にしたものは。瑞々(みずみず)しく輝く青春ストーリー!

*コンペ=
(1)主に建築設計、デザインなどの競技。公共性の強い建築やロゴ、マークなどの設計、デザインの公募(こうぼ)。
**公募=広く一般から募集すること。
(2)競争。また、競技会。特に、ゴルフの競技会。
*ガチンコ勝負=真っ向勝負、正面から戦いを挑む、といった意味で用いられる俗な表現。
*前途多難=目的の達成まで障害の多いこと。将来に多くの困難が予想されること。また、そのさま。
*喪失=失うこと。現代では主として、抽象的な事柄についていう。
*瑞々しい=
(1)つやがあって若々しい。つやつやと輝いている。
(2)若々しく新鮮である。



『日本の詩歌』 大岡 信 岩波文庫



日本の叙景歌(じょけいか)は、偽装(ぎそう)された恋歌であったのか。勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)の編纂(へんさん)を貫く理念は何か―。日本詩歌の流れ、特徴のみならず、日本文化のにおいや感触までをも伝える卓抜(たくばつ)な日本文化芸術論。コレージュ・ド・フランスにおける全五回の講義録。

*叙景歌=和歌や短歌で、作者の目にうつった風景・事物・自然現象などを正確に表現し、作者の感動やイメージをうったえる歌。
*偽装=
(1)ある事実をおおい隠すために、他の物事・状況をよそおうこと。
(2)周囲のものと似た色や形にして姿を見分けにくくすること。特に、戦場などで行うもの。カムフラージュ。
*勅撰和歌集=勅命(ちょくめい)または院宣(いんぜん)によって編纂された和歌集。古今和歌集から新続古今和歌集までの二十一代集。
**勅命=天皇の命令。詔(みことのり) 。
**院宣=平安時代以降、上皇または法皇の命令を受けて出す文書。
*編纂=多くの材料を集め、またはそれに手を加えて、書物の内容をまとめること。編集。

【お勧め図書】◆国立高校(東京) 入試問題

『ひきこもりの国民主義』 酒井 直樹 岩波書店



国民主義や植民地主義の思想はいかにして克服可能か。長年この難題と格闘してきた著者による待望の新著。過去の植民地支配・戦争犯罪を直視せず、アメリカの「下請けの帝国」の地位にしがみつく戦後「日本」。その精神構造を、恥、男性性、人種主義など、様々なファクターから解明する。世界に蔓延(まんえん)する自国第一主義を批判的に超えるための必読書。

*国民主義=国民の人権や自由を尊重しつつ、民主的に国家を形成・発展させようとする思想・運動。
**民主的=「みんなのことは、みんなが話し合って決める」こと。
*植民地主義=国境外の領域を植民地として獲得し支配する政策活動と、それを正当化して推し進める思考を指す。
**植民地=(本来の領土ではなく、)新しく得た領土を、(何らかの理由で)本国とは異なる制度、法律において統治すること。
*直視=事実を正しくはっきりと見ること。
*蔓延=伸び広がること。はびこること。好ましくないことにいう。
**はびこる=(草木などが)茂って広がる。いっぱいに広がる。転じて、勢いが強くなって幅をきかす。



『幼年 水の町』 小池 昌代 白水社



たった一人、世界を見つめていた子どものころ。わたしは、孤独だったが少しもさびしくはなかった――追憶(ついおく)のエッセイと掌編(しょうへん)幻想小説。

クラスの「美少女」を授業中にスケッチする美術教師、カッパと呼ばれる子に誘われたお好み焼屋、ぬめぬめとした鮒(ふな)が泳ぐ池に落ちる自分、「禿(はげ」山の一夜」を園児に聴かせてイメージを描かせる先生、クリスマスに焼きりんごを作る母、縁側で落語の練習をする妹、逆さ蛍と渾名(あだな)された優等生の美しすぎる母親に言い寄る教師たち、音楽の授業でピアノ伴奏をして見つけた和音のよろこび、飛ぶ夢、落ちる夢、夕食後、独りトランプをする父の顔を照らすカードの照り返し――こんこんと湧きあがる追憶は読者を不思議な想念(そうねん)と思索(しさく)に誘う。水の町・深川に育った著者はじめての幼年をめぐるエッセイ集。

*追憶=過ぎ去ったことに思いをはせること。過去をしのぶこと。
**はせる=
(1)速く走る。駆ける。また、馬・車などを速く走らせる。
(2)気持ちや考えを遠くに至らせる。
(3)名前などを広く行きわたらせる。
*エッセイ=思索(しさく)や意見、感想などを形式にとらわれず、簡潔に述べた文学の一ジャンル。
*掌編小説=短編小説よりさらに短い形式の小説。掌(てのひら)の小説。
*渾名=本名のほかに、その人の容姿・性行などの特徴をとらえてつけた別の名前。
*想念=心の中に浮かぶ考え。
*思索=論理的に筋道を立てて考えること。



『黄昏客思』 松浦 寿輝 文藝春秋



己(おのれ)を人生の客となし、背後に時間はたゆたう。
怜悧(れいり)な思索と生の官能とが反響しあう二十篇の随想。

人生の黄昏(たそがれ)、わたしはこれから何をするのか、と自問する瞬間が訪れる。答えのない問いを「正しく問う」道標を探す香気(こうき)高い随想集。

*たゆたう=
(1)物がゆらゆら動いて定まらない。ただよう。
(2)心が動揺する。ためらう。
*怜悧=賢いこと。利口なこと。また、そのさま。
*随想=折にふれて思うこと。また、それらを書きまとめた文章。
*黄昏=
(1)夕方の薄暗い時。夕暮れ。
(2)盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ。
*道標=
(1)道の行き先や目的地までの距離などを示して道端に立てるもの。
(2)ある事の手引きとなるもの。
*香気=よいかおり。

【お勧め図書】◆西高校(東京)入試問題出典

『現代思想講義 人間の終焉と近未来社会のゆくえ』 船木 亨 ちくま新書



「自由で平等な個人」という近代にあった理想。だが、明らかにそれは誤りである。ポピュリズムが跋扈(ばっこ)するポスト・トゥルースの現代は、「群れ」社会への転換をすでに遂げている。その転換も昨今急激に生じたのではない。現代思想で論じられてきたその社会の変容を、順に「人間」「国家」「意識」「政治」「道徳」「思考」の六つの主題について解き明かしていく。AIで人間が不要になる、といった皮相な議論よりもはるかに深い次元で人間の終焉(しゅうえん)を考察し、混迷する人類文明の行く末と、これからの生き方について講義する。

*ポピュリズム=政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒(じょうちょ)や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動。
**情緒=喜び、悲しみ、怒り、恐れなどによって代表される感情群。
*跋扈=わがもの顔に振る舞うこと。のさばりはびこること。
**わがもの顔=自分の領土や領域であるかのように威張ったり大きな顔をすること。
**のさばる=思いのままに大きく場所を占める。威張って勝手気ままにふるまう。
*ポスト・トゥルース=世論(せろん/よろん)形成において、客観的な事実より、虚偽(きょぎ)であっても個人の感情に訴えるものの方が強い影響力を持つ状況。事実を軽視する社会。
**世論=特定の大きな社会集団、公衆がもっているある論争的な問題についての意見、態度、判断などの一般的傾向。
**虚偽=うそいつわり。真実でない事を、誤ってまたは故意(こい=わざとすること)に、真実だとすること。
*皮相=
(1)物事の表面。うわべ。うわっつら。
(2)うわべだけを見て判断し、物事の本質に至らないこと。また、そのさま。
*終焉=命の終わろうとすること。死のまぎわ。



『風に恋う』 額賀 澪 文藝春秋



かつては全国大会連続金賞、その象徴的存在としてマスコミにも頻繁に取り上げられた黄金時代を持つ、名門高校吹奏楽部。子供の頃に演奏会で魅了された幼馴染の茶園基(ちゃえん・もとき)と鳴神玲於奈(なるかみ・れおな)は入部したものの、現在の吹奏楽部にかつての栄光は見る影もない。そこへ突然、黄金時代の部長だったレジェンド・不破瑛太郎(ふわ・えいたろう)がコーチとして戻ってきて、一年生の基を部長に任命した。
部に渦巻く嫉妬(しっと)とプライド、大学受験のプレッシャー、才能への不安と選抜オーディションの恐怖。一年生部長を擁(よう)する名門吹奏楽部は今年、全国大会開催の地・名古屋への切符を手にする事ができるのか。
「高校時代が一番輝いてた、なんて言う大人にはなるなよ」―-コーチとして部活の真剣な舞台に戻ってきた瑛太郎は高校生との時間に何を見つけられるのか。
悔いのない高校生活とは。部活動にすべてを賭ける「今」は、どんな未来へと繋がっているのか。青春小説の名手・額賀澪(ぬかが みお)が紡(つむ)ぎだすリアルで美しい言葉たちが奔流(ほんりゅう)のごとくあふれ出し、高校時代の輝きを懐(なつ)かしむ全ての大人たち、部活動に青春をささげる中高生の胸に突き刺さる!
涙腺決壊(るいせんけっかい)の王道青春エンタメ小説!

*レジェンド=伝説。神話。言い伝え。
*嫉妬=自分よりすぐれたものをうらやんだりねたんだりする気持。やきもち。ねたみ。また、自分の愛する者の心が他に向くのをうらみ憎むこと。
**ねたむ=
(1)他人が自分よりすぐれている状態をうらやましく思って憎む。
(2)男女間のことで嫉妬(しっと)する。やきもちをやく。
*擁する=
(1)だきかかえる。いだく。
(2) 所有する。
(3) ひきいる。従える。
(4)主人としていただく。
*奔流=勢いの激しい流れ。
*王道=
(1)徳をもととして国を治めること。儒教で説かれた理想的な政治のあり方。
(2)物事が進んで行くべき正当な道。欠点のない方法、手段。
(3)安易な方法。楽なやり方。



『茶席からひろがる漢詩の世界』 諸田 龍美 淡交社



「茶席で出合う漢詩」の原典そのものについて、生徒のかなちゃんの鋭い質問に、諸田センセイが軽快に答えます。「漢詩」の奥深い世界をより理解するための様々な 内容に溢れた、やさしく、そして楽しく学べる一冊です。

◆2019年度 日比谷高校(東京) 入試問題出典◆

『情動の哲学入門』 信原 幸弘 勁草書房



情動はときに誤り、害をもたらす。やはり理性に従って行動すべきなのか。理性的に生きることが幸福な生につながるのか。実はそうではない。情動こそが状況に相応しい行動を生み出すのであり、理性は情動の働きを調整しているというのが本当のところである。情動に着目することで新たな展開を見せる心の哲学の最前線。

*情動=恐怖・驚き・怒り・悲しみ・喜びなどの感情で、急激で一時的なもの。

『利休と遠州』 薄田 泣菫 青空文庫

堺衆の数寄者(すきしゃ)が大金をはたいて買った肩衝(かたつき)の茶入(ちゃいれ)を手に入れ、茶会(ちゃかい)の席に千利休を招いて見立てをしてもらおうとするが、何もしてもらえなかったことに腹を立てて、その肩衝を割ってしまう。もったいなく思った客の一人がそれを拾い、無造作に修復してしまう。
その後、無造作に修復された肩衝を見た利休が、それを「結構至極(けっこうしごく)」と評価してしまい…。

*堺衆=室町時代から安土桃山時代に、堺で自治の指導的役割を果たした評定組織またはその組織の構成員。
*数寄者=風流人。とくに茶の湯を趣味とする人。
**風流=上品な趣(おもむき=味わい。面白み)があること。みやびやかなこと。また、そのさま。
*肩衝=茶入れの形の一つ。肩の部分が張っているもの。肩衝茶入れ。
*無造作=
(1)たやすいこと。また、そのさま。
(2)技巧をこらさないこと。念入りでないこと。また、そのさま。
**技巧=技術上の工夫。特に、芸術の制作や表現における技術的な工夫。
*結構=よくまとまった状態であること。
*至極=極限(=物事の限度ぎりぎりのところ)・極致(=力をつくして最後にたどりつく所・有様)に達していること。この上ないこと。また、そのさま。



『ともに読む古典 中世文学編』より「想像力のあそび」 深沢 眞二 笠間書院



古典・古文が苦手だと思っているあなたへ語り継ぐ、古典文学の世界。
古典文学の魅力を伝えたくてたまらない研究者と、生徒を前にして、古文の面白さや学ぶ意義をわかってもらおうと日々奮闘している、現場教員たちとのコラボレーションで贈る前代未聞の本。研究者の本気と現場の教師の本気で、古典の魅力を届けます!

*奮闘
(1)力をふるって戦うこと。奮戦。
(2)力いっぱい努力すること。

【お勧め図書】◆茨城県立入試問題出典◆

『ピアノをきかせて』 小俣 麦穂 講談社



「千弦ちゃんのピアノはすごいけど、いっしょにうたったり踊ったりできない」響音は、姉の心をゆさぶるため、ふるさと文化祭に出場することになったのですが…。感性を信じて生きる姉妹が奏(かな)でる音楽小説。



『声のサイエンス あの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか』 山﨑 広子 NHK出版新書



なぜ人は録音した自分の声が嫌いなのか?どうして「いい声」の人の言葉には、そうでない人より説得力があるのか?私たちが普段何気なく使い、聞いている声には、じつは絶大な力が秘められている。それは人の心を動かし、揺さぶり、自分自身の心身さえ変えていく力を持っている―。声という神秘的で謎に満ちた「音」の正体を、多彩な知見と豊富な事例からひもとく驚きの書。

*絶大=きわめて大きいこと。また、そのさま。
*多彩=
(1)色の種類の多いこと。いろどりが多く美しいこと。また、そのさま。
(2)変化や種類が多くにぎやかなこと。また、そのさま。
*知見=実際に見て知ること。また、見聞して得た知識。



『ここからはじめる短歌入門』 坂井 修一 角川選書



31音という限られた「ことば」で無限の世界を表現できる短歌。恋、家族、老いといった人生のステージがどう歌になるのか、短歌の技法にはどんなものがあるのか、近現代の秀歌を通して学ぶ。はじめて短歌を作る人から、これからもずっと作り続けたい人まで、必読の1冊!“歌を詠み、読む”ことの楽しさをじゅうぶんに味わえる、21世紀の短歌入門書の決定版。

*短歌=和歌の一体。五・七・五・七・七の5句31音からなる歌。
*秀歌=すぐれた和歌。
*詠む=詩歌をつくる。
**詩歌
(1)漢詩と和歌。
(2)詩・和歌・俳句など(韻文の)総称。
***総称=ある共通点を持つ個々のものを何種かまとめて、全体として一つの呼び名でいうこと。また、その名前。」

【お勧め図書】◆埼玉県立入試問題出典◆

『小説現代 2018年7月号』より「ジョックロックに笑え」 額賀 澪 講談社



怪我(けが)で野球をあきらめた、元エースの大河。甲子園を目指すチームメイトのため、吹奏楽部の不破に協力を願い出る。
元エースと吹奏楽バカがタッグを組んだ。甲子園を目指すかつての仲間のためにできることは?熱風すさぶ男子校応援ドラマ!

*ジョックロック=原曲は、1990年代にヤマハが自社のキーボードにサンプルとして添付していた楽曲だと言われている。智辯(ちべん)学園和歌山高校吹奏楽部が高校野球の応援曲として演奏する有名な曲。
*すさぶ=ある方向にいよいよ進む。特に、雨・風などの勢いが増す。



『現代思想講義』 船木 亨 ちくま新書



「自由で平等な個人」という近代にあった理想。だが、明らかにそれは誤りである。ポピュリズムが跋扈(ばっこ)するポスト・トゥルースの現代は、「群れ」社会への転換をすでに遂げている。その転換も昨今急激に生じたのではない。現代思想で論じられてきたその社会の変容を、順に「人間」「国家」「意識」「政治」「道徳」「思考」の六つの主題について解き明かしていく。AIで人間が不要になる、といった皮相(ひそう)な議論よりもはるかに深い次元で人間の終焉(しゅうえん)を考察し、混迷する人類文明の行く末と、これからの生き方について講義する。

*ポピュリズム=政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒(じょうちょ)や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動。
**情緒¬=喜び、悲しみ、怒り、恐れなどによって代表される感情群。
*跋扈=わがもの顔に振る舞うこと。のさばりはびこること。
**わがもの顔=自分の領土や領域であるかのように威張ったり大きな顔をすること。
*ポスト・トゥルース=世論(せろん/よろん)形成において、客観的な事実より、虚偽(きょぎ)であっても個人の感情に訴えるものの方が強い影響力を持つ状況。事実を軽視する社会。
**世論=特定の大きな社会集団、公衆がもっているある論争的な問題についての意見、態度、判断などの一般的傾向。
**虚偽=うそいつわり。真実でない事を、誤ってまたは故意(こい=わざとすること)に、真実だとすること。
*皮相=
(1)物事の表面。うわべ。うわっつら。
(2)うわべだけを見て判断し、物事の本質に至らないこと。また、そのさま。
*終焉=命の終わろうとすること。死のまぎわ。