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『室町殿物語』 楢村 長教 東洋文庫
「室町殿」とは足利将軍邸のこと。義晴(よしはる)、義輝(よしてる)、義昭(よしあき)の3人の将軍と信長・秀吉の時代、裏切り、夜討ち(ようち)に明け暮れ、喧嘩(けんか)、誘拐(ゆうかい)、強盗(ごうとう)が跡を絶たない動乱期の世相(せそう)を、史実(しじつ)と虚構(きょこう)が渾然(こんぜん)となった挿話(そうわ)によって活写(かっしゃ)する。
*義晴=足利義晴。室町幕府12代将軍。
*義輝=足利義輝。室町幕府13代将軍。12代義晴の長男。
*義昭=足利義昭。室町幕府15代将軍。室町幕府最後の将軍。12代将軍義晴の二男。
*夜討ち=
(1)夜、不意に敵を攻撃すること。夜襲。夜駆け。
(2)新聞記者などが、深夜、予告なしに取材先に出向くこと。
(3)夜、人家に押し入って財宝を盗むこと。また、その人。
*動乱=世の中が動揺し、乱れること。また、その乱れ。暴動などのさわぎ。
*世相=世の中のありさま。社会のようす。
*史実=歴史上の事実。
*虚構=
(1)事実でないことを事実らしく作り上げること。また、作り上げられたもの。作りごと。
(2)文芸作品を書くにあたって、作者の想像力により、実際にはないことを現実にあったことのように真実味をもたせて書くこと。
*渾然=
(1)すべてがとけ合って区別がないさま。
(2)性質が円満で欠点のないさま
*挿話=物語や事件の本筋の間に挿入される短いまとまった話。
*活写=物事のありさまを生き生きと描き出すこと。
『都市と地方をかきまぜる「食べる通信」の奇跡』 高橋 博之 光文社新書
東北の農業や漁業の現場を取材したタブロイド紙と、野菜や魚などの生産物をセットで届ける新しいタイプのメディア「東北食べる通信」。その名物編集長が、「都市」と「地方」を切り口に、これからの農業・漁業、地域経済、消費のあり方、情報社会における生き方までを語り尽くす―。
*タブロイド紙=新聞・雑誌などで、日本の一般的な新聞紙の半ページ分の大きさの型。
元々このサイズを採用していた新聞がセンセーショナルな事件報道やゴシップ報道などに力を入れる大衆紙であったことから、転じて大衆紙の報道スタイルを指す語としても用いられる。
『兵隊宿』より「虚無僧」 竹西 寛子 講談社文芸文庫
乗船直前、自分の家に泊った三人の出征(しゅっせい)将校の姿に、未知の大人たちの世界を知り微妙に変わる少年の心の襞(ひだ)。川端康成文学賞受賞「兵隊宿」と、「少年の島」「流線的」「緋鯉(ひごい)」「虚無僧(こむそう)」ほか共通の主人公による九つの短篇(たんぺん)群。『往還(おうかん)の記』『式子内親王(しきしないしんのう)・永福門院(えいふくもんいん)』等、日本の古典を材に優れた評論を持つ著者の『儀式』『鶴』に続く代表的名篇。
*出征=軍隊に加わって戦地に行くこと。
*襞=
(1)衣服や布地などにつけた細長い折り目。
(2)衣服のひだのように見えるもの。精神的なものについてもいう。
(3)キノコの傘の裏側にあるしわ。
*緋鯉=コイの一品種。体色は赤や赤黄色、斑紋のあるものなどさまざま。
*虚無僧=尺八を吹きながら家々を回り、托鉢(たくはつ)を受ける僧。
**托鉢=僧尼(そうに=僧とあま。)修行のため、経を唱えながら各戸の前に立ち、食物や金銭を鉢に受けて回ること。
*短篇=詩歌・小説・映画などの短い作品。
*往還=
(1)道を行き来すること。往復。往来。
(2)人などが行き来するための道。主要な道路。街道。
*式子内親王=平安末期・鎌倉初期の女流歌人。後白河天皇の第3皇女。
*永福門院=鎌倉時代後期の女流歌人。名はしょう子 (しょうし) 。
『40億年、いのちの旅』 伊藤 明夫 岩波ジュニア新書
40億年に及ぶとされる、地球における生命の歴史。共通の祖先(そせん)から進化した生きものたちは、多様でありながら共通点もあわせ持っています。いのちとは何か?いのちはどのようにして生まれたのか?どのように考えられてきたのか?その歴史をひもときながら、私たちの来た道と、これから行く道を、探ってみましょう。
*祖先=
(1)一族・一家の初代にあたる人。また、初代以来、先代までの人々。先祖。
(2)現在のものに発達してきた、もとのもの。
*紐解く(ひもとく)=
(1)〔巻物のひもをほどいて広げる意〕 書物を読む。ひもどく。
(2)衣の下紐(したひも)を解く。男女が共寝する。
(3)つぼみが開く。
『地に滾(たぎ)る』 あさの あつこ 祥伝社
藩政(はんせい)の刷新(さっしん)を願い脱藩(だっぱん)した天羽藩上士(じょうし)の子・伊吹藤士郎は、人が行き交い、物が溢(あふ)れる江戸の大地を踏み締める―。人生に漕(こ)ぎ出した武士の子は、貧し、迷い、慟哭(どうこく)しながら、自由に生きる素晴らしさを知る。著者渾身(こんしん)、鮮烈(せんれつ)な青春時代小説!
*藩政=藩主がその領地内で行う政治。
*刷新=よくない状態を除き去って、全く新しくすること。
*脱藩=江戸時代、武士が藩籍(はんせき:藩の領土と人民)を抜けて浪人(ろうにん)になること。
*上士=武士の身分のひとつ。 江戸時代の上級藩士。
*漕ぎ出す=舟を漕いで出る。
*慟哭=悲しみのあまり、声をあげて泣くこと。
*渾身=からだ全体。全身。満身。
*鮮烈=あざやかではっきりしていること。また、そのさま。
『孟子』 岩波文庫
古来、孟子(もうし)は孔子(こうし)の思想をつぐ賢人(けんじん)として知られている。本書は、在来(ざいらい)の孟子解釈にこだわらず、戦国時代に生きた彼の姿を描きながら、「王道の道は民を保(やす)んずることにあり」という論旨(ろんし)をはじめとして、その思想のすべてを新たな観点からわかりやすく紹介する。人道主義者としての孟子の全貌(ぜんぼう)を達意(たつい)な筆で綴(つづ)った労作である。
*賢人=聖人に次いで徳のある人。また、かしこい人。
*在来=これまで普通にあったこと。ありきたり。
*保んずる=安心させる。
*論旨=論文・議論の主旨。議論の筋道。
*人道主義=人間性を重んじ、人間愛を実践し、併せて人類の福祉向上を目指す立場。
*全貌=全体の姿。物事の全体のありさま。
*達意=自分の考えが十分に相手に理解されるように表現すること。
*綴る=
(1)欠けたり破れたりしたところをつぎ合わせる。また、とじる。とじ合わせる。
(2)言葉をつらねて詩歌や文章を作る。
(3)仮名やアルファベットなどを並べて単語を書き表す。
『土佐日記』 紀貫之 角川ソフィア文庫
平安期の大歌人、紀貫之(きのつらゆき)が侍女(じじょ)になりすまし、帰京の旅をかな文字で綴(つづ)った紀行文学の名作。国司(こくし)の任期を終えて京へ戻る船旅は長く苦しい日々の連続であった。土佐の人々に温かく見送られ出発したものの、天候不順で船はなかなか進まない。おまけに楫取(かんどり)はくせ者。海賊(かいぞく)にも狙われる。また折にふれ、土佐で亡くした娘を想い悲嘆(ひたん)にくれる。鬱々(うつうつ)としながらも歌を詠(よ)み合い、ひたすら都を目指す一行の姿が生き生きとよみがえる。
*侍女=貴人(きじん:地位や家柄が高い人)などのそばに仕える女性。
*国司=奈良・平安時代に中央から地方支配のために送られた役人。今の県知事にあたる。
*楫取=平安・鎌倉時代に、船舶運航全般の責任者。近世の船頭(せんどう)に相当する。
*海賊=海上を横行し、往来の船などを襲い、財貨を脅し取る盗賊。
*悲嘆=かなしみなげくこと。
*鬱々=
(1)心がふさいで晴れ晴れしないさま。
(2)草木の生い茂るさま。
*詠む=和歌・俳句などを作る。ある事柄を歌や句として表現する。
『伊曾保物語』 岩波文庫
仮名草子(かなぞうし)。元和年間(1615‐24)刊行。3巻。《イソップ物語》の翻訳であるが、全部で94話。最初の30話はイソップの逸話(いつわ)、のちの64話が動物の寓話(ぐうわ)である。イソップ物語は、1590年(天正18)スペインの宣教師(せんきょうし)バリニャーノによって日本にもたらされ、九州天草で「エソポのハブラス」として日本語訳ローマ字で印刷された。これが、日本における最初の西洋文学の翻訳本である。この元和(げんな)の書は、それとは異なって古活字版日本字で翻訳されたものである。
*仮名草子=江戸初期に行われた小説類の呼称(こしょう)。婦人・子供向けに、平易(へいい)な仮名文で書かれた、啓蒙娯楽(けいもうごらく)を主としたものが多い。
**呼称=名づけてそう呼ぶこと。その呼び名。
*逸話=その人についての、あまり知られていない興味深い話。エピソード。
*寓話=擬人化した動物などを主人公に、教訓や風刺を織りこんだ物語。
**風刺=それとなくそしる(=人のことを悪く言う)こと。また、遠まわしに社会・人物の欠陥などを批評(=よい点・悪い点などを指摘して、価値を決めること)すること。
*元和=年号(1615.7.13~1624.2.30)。慶長の後、寛永の前。後水尾天皇の代。
『孫子』 岩波文庫
『孫子』13篇(へん)は、中国最古の兵書(へいしょ)である。そこには、現実的な戦術が深い思想的裏づけを得て、戦争一般、さらには人生の問題として、広い視野の中に組みこまれている。竹簡(ちくかん)の新資料との照合も経て、またさらに読みやすくなった新訂版。原文・読み下し文・現代語訳に平易(へいい)な注を加え、巻末には重要語句索引を付した。
*兵書=戦争などにおいて兵の用い方を説いた書物。 主な兵書として古代中国の孫子(そんし)、呉子(ごし)、六韜(りくとう)などが知られる。
*竹簡=紙が普及する以前に,古代中国で書写に用いられた長さ20〜30cm,幅1〜2cm程度の竹片。簡はもともと竹を薄く細長い形に切ったもので,同様の木片を意味する牘(とく)とともに簡牘ともいわれた。
*平易=やさしいこと。たやすく理解できること。また、そのさま。
『知の体力』 永田 和宏 新潮新書
「答えは必ずある」などと思ってはいけない。“勉強”で染みついた呪縛(じゅばく)を解くことが、「知の体力」に目覚める第一歩になる。「質問からすべては始まる」「孤独になる時間を持て」「自分で自分を評価しない」「言葉にできないことの大切さとは」―。細胞生物学者にして日本を代表する歌人でもある著者が、これから学ぶ人、一生学び続けたい人たちにやさしく語りかける。自力で生きぬくための本物の「知」の鍛錬(たんれん)法。
*呪縛=まじないをかけて動けなくすること。心理的な強制によって、人の自由を束縛すること。
*鍛錬=
(1)金属を打ってきたえること。
(2)きびしい訓練や修養を積んで、技芸や心身を強くきたえること。
**修養=徳性(=道徳心。道徳意識)をみがき、人格を高めること。
『動く倫理学を展開する』 小林 道憲 ミネルヴァ書房
内に混沌(こんとん)を蔵(ぞう)している〈動く社会〉の倫理(りんり)を考え、新たな倫理学を構築(こうちく)する。生成変化する社会では、われわれの行為の意味や価値も目まぐるしく変動する。われわれの行為は、変化する状況とともに変わり、また、状況を変化させてもいくことができるのである。生成の中で行為を考え、行為の中で生成を考えながら、その叙述(じょじゅつ)の過程に東西の倫理思想を位置づけ、行為の意味と価値を考察する〈動態倫理学〉の展開。
*混沌=
(1)天地創造の神話で、天と地がまだ分かれず、まじり合っている状態。
(2)入りまじって区別がつかず、はっきりしないさま。
*倫理=人間生活の秩序つまり人倫(じんりん)の中で踏み行うべき規範の筋道(の立て方)
**人倫=
(1)人と人との間柄・秩序関係。君臣(=主君と臣下)・父子・夫婦などの間の秩序。
(2)人として守るべき道。人道。
(3)ひと。人類。人間一般。
*蔵する=
(1)おさめる。所蔵する。
(2)中に含みもつ。
*生成=
(1)生じること。また、生じさせること。
(2)物がその状態を変化させて他の物となること。転化
*行為=
(1)個人がある意志・目的を持って意識的にするおこない。行動。ふるまい。
(2)自由な意志に基づいて選択され、実行された身体的動作で道徳的評価の対象となるもの。
(3)法律上の効果を発生させる原因となる、人の自発的な意思活動。
*叙述=物事について順を追って述べること。また、その述べたもの。
『石の来歴』 奥 泉光 講談社文芸文庫
「石には宇宙が刻印されている」レイテで戦友から聞かされた言葉によって、岩石に魅(み)せられた男。戦後、彼に訪れる苦難(くなん)とは!? 現在と過去、夢と現実が交錯(こうさく)するなかで、妻は狂気にいざなわれ、子は死にもてあそばれる。華麗(かれい)にしてペーソス溢(あふ)れる文体で、時と心との織りなす迷宮(めいきゅう)を描ききる、気鋭(きえい)の芥川賞受賞作。
*レイテ=レイテ沖海戦。1944年(昭和19)10月、太平洋戦争における米軍のフィリピン奪回作戦に伴い生起(せいき)した一連の日米の海空戦。この海戦で日本海軍は残存大型軍艦の大半を喪失(そうしつ)し、以後組織的な作戦能力を失った。
*いざなう=さそう。すすめる。さそい出す。
*もてあそぶ=
(1)手に持って遊ぶ。いじくる。
(2)まじめに扱うべきものをおもちゃにする。
*華麗=はなやかで美しいこと。はでやかなこと。
*ペーソス=もの悲しい情緒。哀愁(あいしゅう)。ユーモアの対。
**情緒=喜び,悲しみ,怒り,恐れなどによって代表される感情群。
*迷宮=
(1)中に入ると容易に出口がわからず迷うようにつくってある建物。
(2)複雑に入り組んでいてなかなか解明できない事柄のたとえ。また特に、手がかりがなく解決の見通しが立たない犯罪事件。
*気鋭=気力があって、意気込みが鋭いこと。また、そのさま。
『歌説話の世界』 馬場 あき子 講談社
本当に勝(すぐ)れた歌とはどういうものをいうのか平安初期から中世にかけて、多くの歌人が記憶に残していった歌説話を中心に、歌とは何だったのかを考える馬場あき子渾身(こんしん)の書。
*歌説話=和歌にまつわる説話を集成した、物語文学の総称。
**説話=話。物語。特に、語り伝えられた神話・伝説・民話など。
*渾身=からだ全体。全身。満身。
『数学の想像力』 加藤 文元 筑摩選書
数学は音楽に似ている。論理と感性、理性と直観等、対立するもののように思われがちだが、音楽も数学も古来、天上へつづくかのような調和の美しさで人を魅了(みりょう)してきた。ところが数学者たちはやがて気づく。数の世界に潜む見えない数、無限、そして緻密(ちみつ)な論理が孕(はら)むパラドクスの深淵(しんえん)。しかしそこに、数学が自由に飛翔(ひしょう)するための契機(けいき)があった―。古代文明から現代まで四千年にわたる数学の歴史をたどり、人間にとって正しさとは何かを問いなおす。
*魅了=すっかり相手の心を引きつけて夢中にさせてしまうこと。
*緻密=
(1)きめ・細工が細かいこと。
(2)細かい所まで行きとどいていること。
*孕む=
(1)胎内に子を宿す。妊娠する。
(2)その中に含み持つ。
(3)穂が出ようとしてふくらむ。
*深淵=
(1)深いふち。深潭 (しんたん) 。
(2)奥深く、底知れないこと。
*飛翔=空高く飛びめぐること。
『ホームグラウンド』 はらだ みずき 角川文庫
建設会社に勤める圭介は、広大な休耕地(きゅうこうち)をもつ祖父の雄蔵に土地の有効利用を持ちかけていた。しかし、脳卒中から快復(かいふく)した雄蔵は圭介の提案を断ると、自分の命を救ってくれた少年について語り、荒れ果てた土地をひとり耕し始める。芝生の広場をつくる、という老人の夢に巻き込まれていく圭介は、両親と祖父母の確執(かくしつ)の真実を知り、迷いのあった人生の舵(かじ)を切る。愛しい人のために今を変えようと奔走(ほんそう)する、家族の絆(きづな)の物語。
*休耕地=水田として機能していない田畑のこと。
*確執=自分の意見を強く主張してゆずらないこと。またそこから起こる争い。
*舵を切る=船の舵を操り進行方向を変える。「切る」は、この場合、乗り物の進行方向を変えることを意味する。また、船の操作から転じて企業などの組織において方針を大幅に変更する意味でも用いられる。ちなみに「舵を取る」は物事を営み進めること。
**舵=船の進行方向を定める装置。板状で、多くは船尾に取り付けられる。
*奔走=かけ回って、物事がうまく運ぶように努力すること。
『瑞穂の国うた』 大岡 信 新潮文庫
大きな節目を皆でいっせいに迎える、おごそかでめでたいお正月。日本人の美意識に深く根差した桜の花。夏にかかせぬ青空に響く蜩(ひぐらし)の声。実りの秋に詠(よ)まれた恋。孤独な心に滴(したた)る酒―。詩情あふれる言葉で書きとめられた、時を経ても変わることのない日本人の心、そして芭蕉、子規、漱石、虚子(きょし)についての珠玉(しゅぎょく)の論考(ろんこう)。
*蜩=カメムシ目セミ科に属する昆虫。
*詠む=和歌・俳句などを作る。ある事柄を歌や句として表現する。
*滴る=
(1)水などが、しずくになって垂れ落ちる。
(2)美しさや鮮やかさがあふれるばかりに満ちている。
*珠玉=真珠や宝石。比喩的に、尊いもの、美しいもの、賞すべきもの。
*論考=あるテーマについて論じ考究した文章。論文。
『日本語は哲学する言語である』 小浜 逸郎 徳間書店
日本語を日本語で哲学すれば、デカルトやハイデガーが、何を間違えたのかがよくわかる。西洋哲学がそのロゴス至上主義ゆえに逢着(ほうちゃく)してしまったアポリアを超えて日本語の文法構造から新しい日本語の哲学を切り拓(ひら)く画期的な試み。
*ロゴス至上主義=フランスの哲学者デリダの用語。日常世界の背後に絶対的な真理が隠されており、それは言葉(ロゴス)によってとらえることができるという西欧形而上学(せいおうけいじじょうがく)の中心原理。この考え方を脱構築することが要請される。
**形而上学=事物の本質、存在の根本原理を思惟(しい)や直観によって探究する学問。アリストテレスの著作の一つが、この名で呼ばれたことに始まる。
***思惟=(物事の根本を)心で深く考えること。
*逢着=出あうこと。出くわすこと。行きあたること。
*アポリア=ギリシア語で場所に関しては通路のないこと、事物については解決の方途が見出せないことから生じる困難を意味する。
『戯作三昧・一塊の土』より「戯作三昧」 芥川 龍之介 新潮文庫
大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の短編小説。初出は「大阪毎日新聞」[1917(大正6)年]。短編集「傀儡師(くぐつし/かいらいし)」[新潮社、1919(大正8)年]に収録。芥川の初の新聞連載小説である。饗庭篁村(あえばこうそん)編「馬琴日記鈔」[文会堂書店、1911(明治44)年]を素材として1831(天保2)年9月の滝川馬琴の一日を描いた作品。馬琴に仮託(かたく)しながら芥川自身の創作への心情を語っている
*新思潮派=芥川龍之介、菊池寛、久米正雄など、第三次、第四次『新思潮(日本の文芸雑誌)』による人々。現実を理知的に捉え、技巧的な表現によって、大正時代を代表した。
*傀儡師=人形遣いの古称。
*理知=物事の道理を判断する能力。
**道理=物事の筋道。
*的=名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。
(1)そのような性質をもったものの意を表す。
(2)それについての、その方面にかかわる、などの意を表す。
(3)そのようなようすの、それらしい、などの意を表す。
*仮託=他の物事を借りて言い表すこと。
『能、世阿弥の「現在」』 土屋 恵一郎 角川ソフィア文庫
面、装束(しょうぞく)の記号的な意味、序の舞の身体(からだ)、ドラマを生み出す仕掛けとしての夢、世阿弥の言葉「花」「離見の見(りけんのけん)」「幽玄(ゆうげん)」。能のさまざまな側面に切り込み、演劇空間の「現在」がどのようにつくられるのかに肉薄(にくはく)する。
*装束=衣服を身に着けること。装うこと。また、その衣服。装い。いでたち。
*「花」=外界の必然にも、自分自身の自然にも、徹底的に従うことにより、その時々の新しい姿を創り出していくこと。
*「離見の見」=演者が、自分を離れ、観客の立場で自分の姿を見ること。自分の演技について客観的な視点をもつこと。
⇒『離見(客観的に見られた自分の姿)を自分自身で見ることが必要であり、自分の見る目が観客の見る目と一致することが重要である』と、世阿弥は述べている。
*「幽玄」=「美しく柔和な姿」という意味。音曲の美しさ、姿が美しく静に舞う姿など。
*肉薄=
(1)身をもって敵地などに迫ること。
(2)競争などで、すぐ近くまで追い迫ること。
(3)鋭く問い詰めること。
Dr.関塾 新川1丁目校のホームページにお越しいただき、誠にありがとうございます。
新学年を迎えるにあたり、気持ちもリフレッシュされていた時期から、
アッという間にふた月が過ぎ、中学生はもう「1学期末テスト」前ですね。
(高校生はまだひと月以上ある学校が多いでしょうか?)
ご家庭での様子はいかがですか?
ふた月前『やる気と意欲』に満ち満ちていたはずですが、
それが、いつの間にやらどこへ行ってしまったのだろう…
というお子様も少なくないのではないでしょうか?
そのようなタイミングにおいて、やってくる「1学期末テスト」であり、
特に中学3年生は、平常点も大切ですが、内申書に影響する大切なテストです。
範囲は決まっていますから、各教科ポイントを押さえ、
計画的に取り組むことができれば、必ず高得点できるはずです。
これまで自分なりに「テスト対策」勉強に取り組んできた人も、
ベテラン講師のサポートを受け、「効率良く」範囲を終え、過去最高点を目指しませんか?
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◆学 費◆ 教材費として1,000円(税込)かかります
◆時間割◆ 月曜日~土曜日
①15:20~16:50 ②17:00~18:30
③18:40~20:10 ④20:20~21:50
◆コース◆ 生徒2名 対 講師1名の体験コース
◆内 容◆ 事前に科目・単元をご相談の上、授業を行ないます。
『科学・技術と現代社会』 池内 了 みすず書房
1995年、それまで宇宙物理学を専門としてきた著者は、阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、高速増殖(ぞうしょく)炉「もんじゅ」のナトリウム漏出(ろうしゅつ)事故の発生をみるにおよんで、科学・技術・社会論に自分の足場を移した。科学と技術がいかにして科学・技術という一セットになったのか、それらは社会とどう影響を互いに及ぼしあっているのか、そこからどのような問題が新たに生じているか。専門家としての科学者は社会に開かれていなければならない。以後の著者の歩みは、科学者の社会的責任とつねに一対をなしていた。
本書は2007-2012年、総合研究大学院大学で足かけ6年にわたって行われた講義録をもとに
再構成したもので、文字通り著者のライフワークを記す。
*高速増殖炉=発電しながら消費した以上の燃料を生成できる原子炉
*漏出=もれて出ること。もらし出すこと。
*足場=
(1)高い所で作業をするために、丸太・鋼管などで組み立てた仮設構造物。
(2)足を踏みつける場所。また、足もとの具合。足掛かり。
(3)物事をしようとする時のよりどころ。土台。
(4)交通の便。
*ライフワーク=一生をかけてする仕事。畢生(ひっせい)の事業。また、ある個人の記念碑(きねんひ)的業績として挙げられる作品、研究など。
**畢生=一生を終わるまでの期間。一生涯。終生。
**記念碑=ある出来事や人物を記念して建てられた碑
**的=名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。
(1)そのような性質をもったものの意を表す。
(2)それについての、その方面にかかわる、などの意を表す。
(3)そのようなようすの、それらしい、などの意を表す。
『完パケ!』 額賀 澪 講談社
経営難で閉校が噂される武蔵映像大学で、卒業制作の映画を撮れるのは、たった一人。監督志望の安原と北川は、コンペでガチンコ勝負することに。天然の安原と、策士の北川。撮影は、前途多難(ぜんとたなん)の幕開けとなったが―。さまざまな喪失(そうしつ)を経て傷つきながら、彼らが手にしたものは。瑞々(みずみず)しく輝く青春ストーリー!
*コンペ=
(1)主に建築設計、デザインなどの競技。公共性の強い建築やロゴ、マークなどの設計、デザインの公募(こうぼ)。
**公募=広く一般から募集すること。
(2)競争。また、競技会。特に、ゴルフの競技会。
*ガチンコ勝負=真っ向勝負、正面から戦いを挑む、といった意味で用いられる俗な表現。
*前途多難=目的の達成まで障害の多いこと。将来に多くの困難が予想されること。また、そのさま。
*喪失=失うこと。現代では主として、抽象的な事柄についていう。
*瑞々しい=
(1)つやがあって若々しい。つやつやと輝いている。
(2)若々しく新鮮である。
『日本の詩歌』 大岡 信 岩波文庫
日本の叙景歌(じょけいか)は、偽装(ぎそう)された恋歌であったのか。勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)の編纂(へんさん)を貫く理念は何か―。日本詩歌の流れ、特徴のみならず、日本文化のにおいや感触までをも伝える卓抜(たくばつ)な日本文化芸術論。コレージュ・ド・フランスにおける全五回の講義録。
*叙景歌=和歌や短歌で、作者の目にうつった風景・事物・自然現象などを正確に表現し、作者の感動やイメージをうったえる歌。
*偽装=
(1)ある事実をおおい隠すために、他の物事・状況をよそおうこと。
(2)周囲のものと似た色や形にして姿を見分けにくくすること。特に、戦場などで行うもの。カムフラージュ。
*勅撰和歌集=勅命(ちょくめい)または院宣(いんぜん)によって編纂された和歌集。古今和歌集から新続古今和歌集までの二十一代集。
**勅命=天皇の命令。詔(みことのり) 。
**院宣=平安時代以降、上皇または法皇の命令を受けて出す文書。
*編纂=多くの材料を集め、またはそれに手を加えて、書物の内容をまとめること。編集。
『ひきこもりの国民主義』 酒井 直樹 岩波書店
国民主義や植民地主義の思想はいかにして克服可能か。長年この難題と格闘してきた著者による待望の新著。過去の植民地支配・戦争犯罪を直視せず、アメリカの「下請けの帝国」の地位にしがみつく戦後「日本」。その精神構造を、恥、男性性、人種主義など、様々なファクターから解明する。世界に蔓延(まんえん)する自国第一主義を批判的に超えるための必読書。
*国民主義=国民の人権や自由を尊重しつつ、民主的に国家を形成・発展させようとする思想・運動。
**民主的=「みんなのことは、みんなが話し合って決める」こと。
*植民地主義=国境外の領域を植民地として獲得し支配する政策活動と、それを正当化して推し進める思考を指す。
**植民地=(本来の領土ではなく、)新しく得た領土を、(何らかの理由で)本国とは異なる制度、法律において統治すること。
*直視=事実を正しくはっきりと見ること。
*蔓延=伸び広がること。はびこること。好ましくないことにいう。
**はびこる=(草木などが)茂って広がる。いっぱいに広がる。転じて、勢いが強くなって幅をきかす。
『幼年 水の町』 小池 昌代 白水社
たった一人、世界を見つめていた子どものころ。わたしは、孤独だったが少しもさびしくはなかった――追憶(ついおく)のエッセイと掌編(しょうへん)幻想小説。
クラスの「美少女」を授業中にスケッチする美術教師、カッパと呼ばれる子に誘われたお好み焼屋、ぬめぬめとした鮒(ふな)が泳ぐ池に落ちる自分、「禿(はげ」山の一夜」を園児に聴かせてイメージを描かせる先生、クリスマスに焼きりんごを作る母、縁側で落語の練習をする妹、逆さ蛍と渾名(あだな)された優等生の美しすぎる母親に言い寄る教師たち、音楽の授業でピアノ伴奏をして見つけた和音のよろこび、飛ぶ夢、落ちる夢、夕食後、独りトランプをする父の顔を照らすカードの照り返し――こんこんと湧きあがる追憶は読者を不思議な想念(そうねん)と思索(しさく)に誘う。水の町・深川に育った著者はじめての幼年をめぐるエッセイ集。
*追憶=過ぎ去ったことに思いをはせること。過去をしのぶこと。
**はせる=
(1)速く走る。駆ける。また、馬・車などを速く走らせる。
(2)気持ちや考えを遠くに至らせる。
(3)名前などを広く行きわたらせる。
*エッセイ=思索(しさく)や意見、感想などを形式にとらわれず、簡潔に述べた文学の一ジャンル。
*掌編小説=短編小説よりさらに短い形式の小説。掌(てのひら)の小説。
*渾名=本名のほかに、その人の容姿・性行などの特徴をとらえてつけた別の名前。
*想念=心の中に浮かぶ考え。
*思索=論理的に筋道を立てて考えること。
『黄昏客思』 松浦 寿輝 文藝春秋
己(おのれ)を人生の客となし、背後に時間はたゆたう。
怜悧(れいり)な思索と生の官能とが反響しあう二十篇の随想。
人生の黄昏(たそがれ)、わたしはこれから何をするのか、と自問する瞬間が訪れる。答えのない問いを「正しく問う」道標を探す香気(こうき)高い随想集。
*たゆたう=
(1)物がゆらゆら動いて定まらない。ただよう。
(2)心が動揺する。ためらう。
*怜悧=賢いこと。利口なこと。また、そのさま。
*随想=折にふれて思うこと。また、それらを書きまとめた文章。
*黄昏=
(1)夕方の薄暗い時。夕暮れ。
(2)盛りを過ぎて終わりに近づこうとするころ。
*道標=
(1)道の行き先や目的地までの距離などを示して道端に立てるもの。
(2)ある事の手引きとなるもの。
*香気=よいかおり。
『現代思想講義 人間の終焉と近未来社会のゆくえ』 船木 亨 ちくま新書
「自由で平等な個人」という近代にあった理想。だが、明らかにそれは誤りである。ポピュリズムが跋扈(ばっこ)するポスト・トゥルースの現代は、「群れ」社会への転換をすでに遂げている。その転換も昨今急激に生じたのではない。現代思想で論じられてきたその社会の変容を、順に「人間」「国家」「意識」「政治」「道徳」「思考」の六つの主題について解き明かしていく。AIで人間が不要になる、といった皮相な議論よりもはるかに深い次元で人間の終焉(しゅうえん)を考察し、混迷する人類文明の行く末と、これからの生き方について講義する。
*ポピュリズム=政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒(じょうちょ)や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動。
**情緒=喜び、悲しみ、怒り、恐れなどによって代表される感情群。
*跋扈=わがもの顔に振る舞うこと。のさばりはびこること。
**わがもの顔=自分の領土や領域であるかのように威張ったり大きな顔をすること。
**のさばる=思いのままに大きく場所を占める。威張って勝手気ままにふるまう。
*ポスト・トゥルース=世論(せろん/よろん)形成において、客観的な事実より、虚偽(きょぎ)であっても個人の感情に訴えるものの方が強い影響力を持つ状況。事実を軽視する社会。
**世論=特定の大きな社会集団、公衆がもっているある論争的な問題についての意見、態度、判断などの一般的傾向。
**虚偽=うそいつわり。真実でない事を、誤ってまたは故意(こい=わざとすること)に、真実だとすること。
*皮相=
(1)物事の表面。うわべ。うわっつら。
(2)うわべだけを見て判断し、物事の本質に至らないこと。また、そのさま。
*終焉=命の終わろうとすること。死のまぎわ。
『風に恋う』 額賀 澪 文藝春秋
かつては全国大会連続金賞、その象徴的存在としてマスコミにも頻繁に取り上げられた黄金時代を持つ、名門高校吹奏楽部。子供の頃に演奏会で魅了された幼馴染の茶園基(ちゃえん・もとき)と鳴神玲於奈(なるかみ・れおな)は入部したものの、現在の吹奏楽部にかつての栄光は見る影もない。そこへ突然、黄金時代の部長だったレジェンド・不破瑛太郎(ふわ・えいたろう)がコーチとして戻ってきて、一年生の基を部長に任命した。
部に渦巻く嫉妬(しっと)とプライド、大学受験のプレッシャー、才能への不安と選抜オーディションの恐怖。一年生部長を擁(よう)する名門吹奏楽部は今年、全国大会開催の地・名古屋への切符を手にする事ができるのか。
「高校時代が一番輝いてた、なんて言う大人にはなるなよ」―-コーチとして部活の真剣な舞台に戻ってきた瑛太郎は高校生との時間に何を見つけられるのか。
悔いのない高校生活とは。部活動にすべてを賭ける「今」は、どんな未来へと繋がっているのか。青春小説の名手・額賀澪(ぬかが みお)が紡(つむ)ぎだすリアルで美しい言葉たちが奔流(ほんりゅう)のごとくあふれ出し、高校時代の輝きを懐(なつ)かしむ全ての大人たち、部活動に青春をささげる中高生の胸に突き刺さる!
涙腺決壊(るいせんけっかい)の王道青春エンタメ小説!
*レジェンド=伝説。神話。言い伝え。
*嫉妬=自分よりすぐれたものをうらやんだりねたんだりする気持。やきもち。ねたみ。また、自分の愛する者の心が他に向くのをうらみ憎むこと。
**ねたむ=
(1)他人が自分よりすぐれている状態をうらやましく思って憎む。
(2)男女間のことで嫉妬(しっと)する。やきもちをやく。
*擁する=
(1)だきかかえる。いだく。
(2) 所有する。
(3) ひきいる。従える。
(4)主人としていただく。
*奔流=勢いの激しい流れ。
*王道=
(1)徳をもととして国を治めること。儒教で説かれた理想的な政治のあり方。
(2)物事が進んで行くべき正当な道。欠点のない方法、手段。
(3)安易な方法。楽なやり方。
『茶席からひろがる漢詩の世界』 諸田 龍美 淡交社
「茶席で出合う漢詩」の原典そのものについて、生徒のかなちゃんの鋭い質問に、諸田センセイが軽快に答えます。「漢詩」の奥深い世界をより理解するための様々な 内容に溢れた、やさしく、そして楽しく学べる一冊です。